一塁手が球を持ってタッチに来た。打者走者は触られないように一歩後ずさりしたのに、審判は「アウト」。なぜでしょうか。
一塁へ到達する前の打者走者が、野手のタッチを避ける、または遅らせるために本塁方向へ後退した場合、実際にタッチされなくてもアウトになります。この判定ではボールはデッドとなり、ほかの走者は原則として投球時に最後に適法に触れていた塁へ戻ります。今回、一塁走者は一塁へ戻ります。
今回の場面:送りバント後、一塁の手前で後ずさり
0死一塁。打者が一塁側へ送りバントを決め、一塁走者は二塁へ向かいます。一塁手は球を保持し、まだ一塁へ到達していない打者走者へのタッチを試みます。打者走者はタッチを避けようと、体を一塁手に向けたまま本塁側へ一歩後退しました。野手のグラブは打者走者に触れていません。

なぜタッチされていなくてもアウト?
WBSCファストピッチ公式規則5.5.2(b)(xii)は、打者走者が野手のタッチを避けたり遅らせたりするため、本塁方向へ後退する行為をアウトの対象としています。「何歩戻ったらアウト」という距離ではなく、打者走者がどの場面で、何のために後退したかが重要です。今回のように球を持った野手がタッチを試み、それを避けて本塁側へ下がる場面が該当します。
ただし、打者走者が一瞬立ち止まっただけ、あるいはバランスを崩しただけで必ずこの規則のアウトになるわけではありません。実際の動きとプレーの状況を審判が見て判定します。
一塁走者はなぜ二塁へ進めない?
このアウトは、球を持った野手が走者にタッチして成立する通常のアウトとは扱いが異なります。規則5.5.2(b)ではボールデッドとなり、ほかの走者は投球時に最後に適法に触れていた塁へ戻ります。今回の一塁走者が投球時に触れていたのは一塁です。打球後に二塁へ向かっていても、ここでは一塁へ戻ります。一塁走者までアウトになるわけではありません。
タッチでアウトになった場合との違い
| 打者走者のアウトの理由 | 球の状態 | ほかの走者 |
|---|---|---|
| 一塁到達前に、野手が球を持って打者走者へ適法にタッチ | インプレー | 自分の責任で進塁できる |
| タッチを避ける・遅らせるため、打者走者が本塁方向へ後退 | ボールデッド | 投球時に最後に適法に触れた塁へ戻る |
「触れていないからセーフ」とは言い切れない理由はここにあります。今回の判定はタッチアウトではなく、打者走者自身の後退行為に対するアウトです。
試合中に確認したい三つの点
- 打者走者は一塁へ到達する前だったか。
- 球を持った野手のタッチを避ける、または遅らせるために本塁方向へ下がったか。
- アウト後、ほかの走者が投球時に最後に適法に触れていた塁はどこか。
この三点を分けて見ると、「タッチされていないのにアウト」と「一塁走者が戻る」の二つの疑問を整理できます。一塁到達後の走塁や、単に足を止めた場面を同じ判定と決めつけないことも大切です。
結論
今回の打者走者は、一塁到達前にタッチを避けるため本塁方向へ後退したためアウト。球はデッドとなり、一塁走者は投球時に触れていた一塁へ戻ります。タッチの有無だけでなく、後退した目的とタイミングを確認しましょう。
参考:WBSC Official Rules of Softball, Fast Pitch 2026–2029、規則5.5.2(a)(iii)、5.5.2(b)および5.5.2(b)(xii)。
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記事内の場面画像とアイキャッチは、プレーを説明するための再現イメージです。実際の試合の記録や判定の証拠ではありません。







