障がい者女子ソフトボールって?
みなさん、ソフトボールって健常者だけのスポーツだと思っていませんか?実はソフトボールは障がい者の方でも出来るスポーツなんです。実際に男女ともに障がい者ソフトボールチームが存在しています。
今回は、障がい者女子ソフトボールチーム、武蔵野プリティープリンセスの監督と一般社団法人日本障害者女子ソフトボール協会の代表理事をしている、発起人の工藤陽介様にお話を伺いました。
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障がい者女子ソフトボールチームを発足
Q:発足の経緯を教えてください。
A:障がい者ソフトボールチームは数多く存在しています。しかし、それは男性チームばかりで、女性はその中に混ざってプレーをしていましたが、性別による力の差が出てしまっていました。パラスポーツ全体で見ても、女性のチームスポーツや身体を動かし楽しめる環境はあまりありません。さらに、大人になるにつれてその機会は更に減ってしまうのが現状です。
そのような環境でも、身体を動かす事の楽しさ、仲間とスポーツする事の楽しさ、勝つ事の喜びや負けた時の悔しさを味わってもらいたい。何よりソフトボールの楽しさを感じて欲しい!そんな想いから障がい者女子ソフトボール発足の活動がはじまりました。
そして、2015年に埼玉県にて日本初の知的障がいのある女性だけのソフトボールチーム「武蔵野プリティープリンセス」が発足しました。その後、 2016年に障がい者女子ソフトボールを統括する団体として、日本障害者女子ソフトボール協会を設立しました。
※武蔵野プリティープリンセスのみなさん
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ルールの違いは?
Q:健常者ソフトボールとルールの違いはあるのでしょうか?
A:ルールやグラウンド、投捕間の距離は健常者のソフトボールと一緒です。ただ、男子で普及している障がい者ソフトボールは盗塁無し、パスボールが無しと少しルールが違っています。障がい者の方に考慮されてはいるのですが、そうしてしまうことで健常者のチームと試合をする時にルールの違いによる不具合が生じてしまう状況です。
私たちのチームは、現時点は同じ女子の障がい者チームが他にはありませんので、試合となると中学生とやることが多いので、設立当初から通常のルールで選手達に指導しています。
海外での普及について
Q:海外では障がい者女子ソフトボールは普及しているのでしょうか。
A:スペシャルオリンピックス※1という知的障がい者スポーツの世界的組織ではソフトボールは実施されていますが、私が見たり聞いたりしている限りでは女子だけのチームは無いのが現状です。
※練習風景
今後の展望
Q:今後の活動について教えてください。
A:障がい者女子ソフトボールは認知・理解ともにまだですが、2020年東京で開催されるオリンピックのソフトボール競技の前座試合で障がい者女子ソフトボールが開催出来るように動きを始めています。
それが実現することによって、活動の認知度も格段に上がり、広がりも加速すると考えています。そして、障がい者女子だけの大会が開催出来るようにしていきたいです。
最終的にはパラリンピックでソフトボール競技の実施、並びに金メダルの獲得です。残念ながら、現在はパラリンピックの種目にはなっていないので、2024年をターゲットとして、ソフトボール競技がパラリンピックの種目になるようにしていきたいです。
※宇津木妙子さんと武蔵野プリティープリンセスのみなさん
おわりに
恥ずかしながら女子障がい者ソフトボールは普及しているものだと思っていました。今回工藤様の活動を知り、健常者だけではなく障がい者ソフトボールについても発展に協力していきたいと思います。工藤樣ご協力ありがとうございました。
【プロフィール】
工藤 陽介(くどう・ようすけ)
知的障害のある女性のソフトボールチーム「武蔵野プリティープリンセス」代表兼監督。1977年、埼玉県出身。高校卒業後オーストラリアに渡り、ソフトボールと障がい者スポーツのコーチングを学ぶ。留学中、シドニー五輪のソフトボール女子日本代表(監督:宇津木妙子(当時))の通訳を務める。2002年より、NPO法人(当時)スペシャルオリンピックス日本で、知的障害者へのスポーツ指導に携わる。2011年より「社会福祉法人 昴」の職員。武蔵丘短期大学で「障がい者スポーツ」の講師を勤める。一般社団法人日本障害者女子ソフトボール協会代表理事。
※1:知的障害のある人達に、日常的なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を提供する国際的なスポーツ組織です。現在、世界170ヵ国以上で400万人、国内では47都道府県で7,339人がアスリートとして活動に参加しています。
引用:スペシャルオリンピックス 日本公式サイト